ICレコーダの録音内容

音声ファイルノーカット版① 
新宿西口地下交番(録音開始~新宿署への移動の前まで)
※JR職員は民間人で有るため、氏名を特定している発言については処理をしてあります。




プレイヤーで再生できない方は
こちら→ダウンロードファイル
音声ファイルをダウンロードして再生して下さい。

信助氏の遺したICレコーダーの音声データは合計6時間12分(※録音開始~電車との接触)
録音データのノーカットでの公開については、賛否がありますが
12月15日の東京地検の「告発は証拠不十分で立件しない」との決定を受け
ご遺族の意向により段階的に公開する事となりました。

会話に登場する警察官:しぐり氏、平岡氏(※現場に駆けつけた二名) 、あべ氏

【録音、重要発言の書き起こし】


00分50秒 
原田:ま、二対一の状況で電話をかけていた これは事実ですよね

警官:電話をかけていましたね 弁護士に電話するってね (しゃべってますね どーしてます?)


01分37秒
警官:それとね 録音されてますけども

原田:ええ 先ほどからずっとしておりますが・・

警官:今ね、録音でね あなたがね 今ね 人の人権をね 侵害する恐れがあるから

原田:ちょっと待って 録音で 侵害する はい、問題発言でましたね

警官:止めた方がよろしいですよ


02分16秒
原田:任意で、善意で  善意で申し上げてるにも関わらず 録音をすると人権の損害だ

警官:損害じゃない そんな事言って無いですよ

原田:いや おっしゃってましたよ

警官:PS同行するから


12分45秒
警官:でも此処で通信したじゃないですか私…

原田:してないです

警官:自分代わったじゃないですか

原田:それは最後の 充電きれる前ですよ

警官:充電切れてなかったじゃないですか

原田:その時点ですよ それは揚げ足ですよ


17分06秒 
原田:私は11時前 たぶん、阿部さんも確認されておりましたが… 10:45分から1時間以上 時間を拘束されているんですよ (会話中に「ええ」という警官の声)

29分55秒
警官:原田さん連れていくけど、あの、一応事情を話してくれるんですけど、携帯、ほら切れてるんで、実家に帰るって言ってるのに。行ったら電話したいって言うので、電話借りれるなら行くことに同意してくれたから。
とりあえず、それ、別件、別件。まったく別件で。説明しておいて、言っておいて。刑事さんに別件って言っておいて。いまから予定どおり、迎えに来てもらうから。(不鮮明)着いたら連絡したい、家族と電話したい、という保障を取ってくれと言っているから。刑事さんに確認してくれ、と。

原田:別に警官の方に敵意を示しているわけじゃないんですよ。客観的な話をしているだけなんですよ。言っても仕方がないけど。

警官:(電話が続いている)OK? じゃあ、いまから連れていくので。

原田:担当の方のお名前は?

警官:あ、もしもし? 担当の方のお名前は? って聞いてる、あ、切れちゃった。

原田:電話番号、電話番号は?

警官:もう一回電話する。

別の警官:井上係長、井上係長じゃないの? 

原田:井上係長。

別の警官:ちょっと向こう行ってから改めて確認しますけれど。先ほど電話して確認を取ったのはI係長です。

原田:間違いなく?

別の警官:もう一回向こうで確認してください。
原田:はい。

警官:じゃあ、行きましょう! すいません、なんかバタバタしちゃって。

原田:いえいえ、それは別に……。




【2009年12月10日:新宿駅西口交番にて】

原田信助さんの母、原田尚美さんのブロク
目撃者を探しています!平成21年12月10日(木)午後11時頃新宿駅での出来事です。
より転載 敬称略

原田:「録音を」録っておりますので、はい、続けていただけますか?
原田:ちょっと待ってください。私はHさん(暴行現場から西口交番に連行した警察官の実名)に来ていただいたときに、お二方、JRのふたりに詰め寄られているのは見ていますよね。さっきも申しあげましたけれど。

警官: いたのはわかりますけど、詰め寄られた関係は……

原田: なんでですか? ……それはいいですよ、それは私の主観的な主張かもしれい。
 二対一の状況で電話をかけていた。これは事実ですよね。

警官: うん、電話かけていましたよね。弁護士に電話するとね。

原田: ええ、そうですよね。その前の状況は何も把握していないですよね。

警官: 残念ながら。

原田: 残念ながらってどういうことですか?

警官: それはね、お兄さんからお話聞いていないですから、もうひとりのね。

原田: 名前はなんと言いますか、あのお二方。

警官: それは申し上げられません。
警官: それとね、録音されていますけれども。

原田: ええ、先ほどからずっとしていますけども。

警官: 録音であなたが、人の人権ね、侵害する恐れがあるから、消してください。

原田: ちょっと待って。録音で損害する。はい、問題発言でましたね。

警官: やめたほうがよろしいでしょう。

原田: 公共の発言に関して録音で人権を損害するとはどういうことですか?

警官: 我々、警察官……

原田: ちがいます。公共の、そもそも私は何でここに来たのか、わからない立場でお話を任意で、任意で……

警官: お話したじゃないですか。

原田: 任意で申し上げているにもかかわらず、録音すると人権の損害だと言う。

警官: 損害じゃない、そんなこと言っていないですよ。

原田: いや、おっしゃってましたよ。

警官: PS 同行するから

警官: PS同行するから!?

警官: それねあの、

原田: 一回電話借りれませんか?お金払いますんで、その10円なら10円分。公衆電話でもいいんで。

警官:  貸すときは貸すので、お金も要らないのでそのときは

原田: すぐほしいんです。
原田: 電話がいま、充電器がないので。なんならいまお金払いますんで、携帯用の、

警官: いや、お金、そういうことはしていないので。

原田: 携帯用の充電器買ってきていただければお金払いますんで。私は通信状況を絶たれた状況で、お三方から一方的にお話しを詰められているという状況ですか?

警官: 私、ひとりじゃありませんか?

原田: いやいや、じゃあ、私は帰りますよ。

警官: 原田さんはいま、「何があったかわからない」って言ったじゃないですか。そのとおりだと思うんですけれども、
全体としてみると向こうはよくわかっている。喧嘩みたいな状態になって……

原田: いやいや、意味がわからない。 

警官: われわれも喧嘩と思っちゃいますよ。

原田: 喧嘩と思っちゃいますよ!?

警官: だって、取っ組み合いになったって自分で言ったじゃないですか。

原田: 取っ組み合いになったって、一言も申し上げていない。

警官: 馬乗りに、

原田: 馬乗りになられたっていう事実は申し上げました。

警官: 上と下、逆転して、

原田: 逆転したとは申し上げてないです。

警官: 申し上げたじゃないですか。下に初めなって。

原田: はい、なりましたね。

警官: つかまれて、それをやりかえしたと。

原田: 反転はさせました。

警官: 周りの方が駅で見ていたら、やっぱり喧嘩ですよ。


■新宿駅西口交番にて1時間以上の拘束時の録音

(交番で「電話させてほしい」と懇願するが、拒否される)

原田:もう一度お願いできますか。

警官:じゃあメモ取ってくれますか。

原田:いえいえ、もう一度お願いできますか。

警官:我々は、ね、頼まれて

原田:頼まれて。

警官:そういう風にね、貴方の保険証見せていただいても、ね、頼まれて、これで買ってきてくださいと言われても、

原田:じゃあちょっと待って、あの任意同行ですよね。私が貴方に付き添いの状態で売店に行くことは可能ですか。

警官:あ、じゃこれから警察署、向かいます。

原田:その途中に充電器を購入することは可能ですか。任意同行ですよね。

警官:じゃあその途中、お店、とりあえず、お店、コンビニとか、コンビニあるとこ、通りませんので。

原田:何故ですか。任意同行ですよね。

警官:あなたがね、そういう風にね、110番ね、されたじゃないですか。

原田:しました。

警官:あなたの言い分としては、被害者ですよ、と。ね、いきなり掴まれて、馬乗りになられて

原田:何度も申し上げてます。

警官:でしょ?うん。でね、そのことについて110番されて、我々は駆けつけましたと。だから、貴方、貴方からも話聞かなきゃいけないし、もちろん相手からも話聞いて。あのね、向こうの人はもう警察署に行ってもらいました。先に。

原田:ええ。その途中に寄ることはなぜ不可能なんですか。

警官:そういうことは

原田:私は通信状況にあった、通信しなければいけない状況にあった、それを阻害された

警官ここで通信してたじゃないですか、私

原田:してないですよ、もう充電

警官:私、電話かわったじゃないですか、ここで

原田:それは、最後の充電切れる前ですよ

警官:充電切れてなかったじゃないですか

原田:その時点ですよ、それは揚げ足ですよ

警官:揚げ足とかじゃなくて

原田:いや、その後に通信する必要があったんですよ

警官:向こうで、向こうで

原田:じゃあちょっと待ってください。そのイベントがなければ、私は普通に

警官:イベントってなんですか

原田:その出来事がなければ、平易な言葉で言い換えますと。そのイベントがなければ、普通に私の意志で、通信をしなければいけない相手と通信することが可能であったはずですよね。

警官:じゃ、110番されてたでしょ

原田:それは、その出来事があったからですよね。なんでその補償できないんですか。任意同行っていう名目で連れてこられて。警察署、行きますよ。ただ、その前に何故通信状況を回復できないのか、私には理解できない。

警官:だから、買ってくることもできないし、って言ってるじゃないですか

原田:だから、その途中に、買えばいいって先ほどから何度も、あべさんにも何度も申し上げてるんですよ

警官:その、買うような、お手伝いをするような、そこまで私どもは

原田:そこまで私は... 何故ですか。任意同行なのに何故ですか。理由がなく

警官:あなたはなぜ110番されたの。

原田:それ、

警官:被害者だから、被害者だから、されたんでしょ。今お話してる。でね、お話を聞かなきゃいけないと。で、交番まで来てもらいました。でね、色々貴方がね、

原田:その方に、その経緯に至るまでに、まあ判明しましたが、JRの職員二人に突き飛ばされた後ですよ。まあいいですそれは

警官:だから、貴方が被害者だってことでしょ。

原田:ええ。

警官:でね、だから、我々もここへ来てね、刑事さん、専門の、今は専門の刑事さんにね、お話をね、もう一回、申し訳ないけどもう一回してもらって、刑事さんの判断を仰ぎたいと思うんですよ。

原田:それは、はい、承認しました。私は通信状況を回復、回復というか現状復帰

警官:申し訳ないけど、それからにしてください

原田:じゃあ、はい、それから... 現状復帰は、その刑事さんに折衝した時点では現状復帰は認められるという平岡さんの判断でよろしいですか?いや、ただ、外線に切り替えられることはできるんですよね、この端末から。

警官:警察電話なんで... ちょっと難しい手続き、やっぱり、しなけりゃならない

原田:ええ。ただ、平岡さんのお話だと、その刑事の方に判断を仰ぐ、その承認が

警官:うん。警察署いって、いただいて、刑事さんにお話すればもう多分、多分ですけど、すぐ、すぐもう電話していいよってなりますよ

原田:それは間違いないですね。

警官:た、たぶん、私そう思います。電話しちゃいけないってことはないと思うんで

原田:しぐりさんの... 主観的な意見だとちょっと保証が得られないんで、ええ。たぶんそう思います?

警官:ずっと電話させないってことはないと思うんで、それは大丈夫です

原田:だって、最初任意同行という名目で

警官:もちろん今もそうですよ

原田:来て、帰ろうとしてただけ、まあいいや、それ言っても埒あかないから... まあいいです。

警官:車... あの、パトカーなんですけど、車いま来ましたので、あの警察署のほうに移動という形で


【12月11日:新宿警察署にて】






















原田: 私は15番線16番線入り口南部より、小田急よりから階段を3段目か4段目から上がろうとしていたところ、宙をういたような状況。その状況から背中から落ちた。
 その状態で私は衝撃を受けました。その後に全く面識のない男性の方に馬乗り状態にされました。
 その状況で、「お前だろう、お前だろう」と、首元を床に何度も叩きつけられました。

原田: その状態で、身の危険を感じて、相手の身体を反転させる。多少乱暴といいますか、反転させるためにどうしたらいいかと思い、
 上に乗っている方の左側の胸倉をつかみながら反転させるような所作を取りました。
 その状態で、私が馬乗りになりました。その状態でまだ相手方は動きを示していたので、お互いもみくちゃの状態ですね。

原田: 私はその時点で身の危険を感じたので、110番通報いたしました。
 山岸さんという方が、相手方としてお出になりました。私は現場を説明しました。通信指令センターの方なので、
 おそらく録音はされていると存じます。それで、事情を説明しました。
 そして、Hさんの名札を確認したところ、右手で、私の左肩を突き飛ばしました。
 私は、そのまま地面にしりもちをついて、でも通話状態は続いていたので、山岸さんからはずっと、
 「警察の方に代わってください。警察の方に代わってください。」と言われたので、
 警察の方だと思っていたA、この方に代わろうとしていたのに、
 「お前だろう、お前だろう、お前だろう」と何度も暴力を振るわれました。
 そこにまず、しぐりさんという新宿警察署交番の方がきました。その後、平岡さん、あちらの方ですよね。平岡さんあなたですよね、二番めにいらっしゃったのはあなたですよね。
 しぐりさんのお話だと、二人の方が暴力を振るった現場は見ていないというお話でしたが、
 2対1の状況にあったということは認めて頂いた上での発言はいただいております。
 私は、訳の分からぬままに、任意同行と申し上げられたので、帰ろうとしても、警察官の方にそれを阻害された、その保障がほしいということで付いていきました。
 「取調べじゃないですよ、取調べじゃないですよ」というしぐりさん、平岡さん、あべさんから、警察署に伺えば、通信することが可能という言質を頂いた上で、
 パトカーに乗り、新宿西口交番から新宿警察署に参った次第です。

刑事: だいたい分かった。ただ、あなたが今日ここに来たというのは、要するに、階段で女性のおなかか何かをなでた、

原田: 何でおなか?意味が分からないないんですけど。

刑事: だから、そこを聞きたかったの。

原田: 私は、階段の3段目から4段目に上がろうとしたところを、1段目めに体を叩きつけられた。
 AとHという方にずっと主張しようとしたら、何度も暴行を受けた。ただその事実だけです。
 電話は、井上係長、おおくらさんの元に行けば使えるというお話しだったので、ここに来たまでです。


■確約証


(信助さんは、事情聴取が終わりに近づくころ、〈明日の仕事に支障をきたすので、休養を取りたい〉と申し出る。事情聴取を受けた部屋でわずかな時間、パイプ椅子を並べて休んでいたところ、
午前3時36分、刑事に起こされ、後日呼び出しがあれば出頭に応じる確約証を書いてほしいと言われた。)


刑事 後日ですね、刑事課、地域課、どちらかのほうで被害届を出してもらいますんで、今日は遅くなったんで、今日のところはいいですので。で、後日、出頭願い、警察のほうで呼び出しがあった場合は、こちらのほうに出頭しますよ、と言う確約書のほうを書いてください。

原田 (くぐもった声で)ちょっと待ってください……。

刑事 確約書というのは、いつでも警察署に来ますよって、それだけでけっこうです。要はあなたが確約証を出してくるときに(笑)、警察の呼び出しに応じますよって(笑)。

原田 ええ。書式はないんですか? 

刑事 あぁ、ご自由に書かれてけっこうです。

原田 ……どう?

刑事 書きづらい?

原田 非常に、……どう表現したらいいのか。

刑事 あぁ、じゃあ書こうか。私が体裁を(笑)。

原田 えぇ、申し訳ないです。

刑事 でね、ここだと休みづらいから、どうします? 下のソファで休みます?

原田 (弱弱しい声で)できれば、そうしたいです。

刑事 わかりました。これを書いたら下に行きましょう。

原田 うん。

刑事 朝何時ごろ起こしゃいいですか?

原田 そうですね……7時半ぐらい

刑事 7時半ごろね、わかりました。

(まず刑事が確約書の体裁を手本として書き示す。
そこで刑事が文面を読み上げ、あらためて信助さんが確約書を作成するという作業。)


原田:「法廷でぜんぶ、という運びになるんですよね」とたずねる。

刑事:「裁判というかたちになりますよね」と返す。

(信助さん、視力矯正ができていないため、字体が乱れることを気にしている。)

原田 この視力の状態で資料を書くと、社会的に欠陥があるような。

刑事 そんなことないでしょう(笑).

原田 いや、どうでしょう。

刑事 取り調べに、警察署にいつでも来ますよっていう(笑)、あれですから、ハハハ。

原田 これが公的に扱われるわけですよね?

刑事 いや、これ、警察署だけのあれですから。要はこういうふうに警察署に呼び出しがあったら来ますよっていう、我々に対する申し立て状ですから。

原田 ちょっと注意書きをしたいんですけれど。ちょっと視力が落ちた状態でしたっていう。

刑事 別に構わないですよ。警察署のほうだけですから。

原田 間違いないですか?

刑事 間違いないです。(確約書の文面に合わせて)……しましたが、このことで……警察署から、呼び出しがあった……いつでも……まあ、いつでもいらないか……出頭します。

原田 出頭って?

刑事 うん、お伺いしますでいいでしょ。自分のお言葉で。で、その下に平成21年12月11日。

原田 この字だと……。

刑事 大丈夫ですよ。ここに電話番号書いてください……で、ここに警察庁新宿警察署長。

原田 警察署?

刑事 警察署長ですね。新宿って書いておきゃいいや。新宿警察署長、で、立川の立、延びる、哲学の哲、そう。

原田 (書きながら)相手方とはこのあとどうなるんですか?  

刑事 あなたのほうが被害届を出して、その暴行の事実について……それはなんでしょうか?

原田 矯正視力がない旨を。

刑事 ハハハ、どうぞどうぞ、フフッ、ご自由にお書きください。いいですよ、注を入れなくても……らん、らん、らーん、なんだ? 乱筆……下にね。

(刑事の声には、ときに含み笑いが混じっている。いっぽう、信助さんはボロボロの身体で、それでも先方の要請に応じようと、力を振り絞っている模様。
文面は以下。)

確約証

 本日、私は暴行を受けたことで新宿警察署で話をしましたが、この事で警察署から呼び出しがあれば、随時お伺いします。
                     平成21年12月11日
                             原田信助 印

   新宿警察署長
     安延哲夫殿

              上記 ●(書き損じを消した後)視力が逸した状態のため乱筆になりました旨を記載します。


■写真

(休んでいるところを起こされた信助さんは、確約証を書き終えると、次に写真を撮影すると刑事から言われ。)

刑事 原田さんね、今日の服装のやつだけ、変わっちゃうんで、服装のとこだけ、こういう状況でしたよっていう、いまのネクタイがこうなっている状況の写真だけ撮りますから。そのときの状況ですよね? 引っ張られた。

原田 いやあの、駅員さんのあとですよ、これは。

刑事 うん、駅員さんのあとでけっこうですから。ここにいらっしゃった姿をそのまま撮りますから。

原田 ただ、そのあとに睡眠、仮眠を取らせていただいたり……。

刑事 あ、大丈夫ですよ。うん、いまの、とりあえず今日の服装だけ撮らさせていただきます。

原田 ああ。

刑事  どうぞ、お越しください。全身だけで結構です。

原田 それは、当時と……ちょっと待ってください。

刑事 いや、今日の服装、服装。

原田 任意ですか?

刑事 (さえぎって)よろしいですか。いきますよ……お鞄をお持ちになってください。

原田 ちょっと待ってください。それは被疑者としての撮影でしょ?

刑事 違いますよ。

原田 違いますか。まったく理解できないことが多い。

刑事 いや、法廷でも、それはこうですよっていう証明になりますから。よろしいですか。

原田 ええ、なんでいま出てくるんですか? そういった話が。

刑事 要は、このときにあなたが暴行を受けた……。

原田 (さえぎる)確認させていただけますか?

刑事 どうぞ。

(信助さん鏡で自分の姿を確認。)

刑事 はい、それでよろしいですね。

原田 髪も、かなりなんか……。

刑事 (笑いながら)髪は関係ないでしょ。

原田 狂人みたいな感じに見えますがね。

刑事 関係ない、関係ないです(笑)。

原田 本当ですか?

刑事 関係ない。……よろしいですか?

原田 ええ、これは……。

刑事 はい、どうぞ。

(シャッターが切られる。)


■パイプ椅子を並べ、横たわる直前の会話

原田 任意同行なので、明日私が出勤することは可能なんですか?

刑事 ん? いまの段階ではまだ話がまとまってないからですね。
刑事 あのー、会社のほうは行かれて結構なんですけれど、ただほら、被害届を出すっていうことになれば……。

原田 そのあとでいいですか?

刑事 そのあと?

原田 ええ。

刑事 そしたらですね、わかりました。いま、あのうちのほうで扱っている制服の警官がいますからね、そちらのほうが扱いますのでね、そちらのほうに話してもらって。

原田 はい。

刑事 後日、まあ出頭してくださいってことで、そのときに被害届を作りますっていうなら、それでもかまわないと思います。

原田 それで、なんらかの不利は? 私のほうに被るっていう可能性は?

刑事 不利っていうのは、ないでしょうね。

原田 じゃあ、私がいまここで休養を取って、出勤して、そのあと被害届のほうの作成に移行することで、なんら社会生活に支障をきたさないという認識ですか?

刑事 それはー、申し訳ないんだけれども、それを扱う警察官のほうのやっぱり手続きの関係とか。

原田 ええ、ええ。

刑事 そちらのほうでちょっと、お話を聞いてもらうっていうかたちになります。

原田 それでこう、なんだろう。まぁ、話は悪いですけど、ニュースとかで見る、ゴシップとかで見るような、ドラマみたいな、職場に知らされたりみたいな……。

刑事 ないですね。

原田 あの、実家のそばに……。

刑事 我々のほうはしない。そんなことは(笑)、ハハハハハ。

原田 じゃあ、

刑事 (笑いが止まらない)ンフフフフフ……。

原田 あの、なんの気兼ねなく、出勤して臨めばいい、と?

刑事 あぁ、だと思いますよ、はい。我々のほうで会社に連絡を取ったりだとか、そういうことはしない。

原田 (さえぎって)なんで、ここで、身柄を拘束されるのか?

刑事 私がさきほどお話したとおり(笑)、最初、あなたのほうが、痴漢したんですっていうことで、訴えてきたんで、やはりあなたのほうの話も聴かなきゃいけないからということなんです。

原田 ええ、ええ。

刑事 そのとおりでございます。

原田 (力なく)かしこまりました。

■決意

原田 ちょっと、あの杞憂かも知れないんですけれど、社会生活に支障をきたすような、まあ、ドキュメンタリーみたいなものは、世の中いろいろあっているような気がするんですけれど、
冤罪みたいなもので、苦しめられ続けるみたいな、そういう支障はありうる可能性は?

刑事 いや、だって、被害届出すわけでしょ?

原田 出しますね。

刑事 えぇ(笑)、被害届出すんであれば、別にねぇ、あとは要は双方が話がつかなければ、当然、裁判というかたちに。

原田 ええ。

刑事 ええ。

原田 こっちからあっちに起こしていくということで、わかりました。

刑事 とりあえずは、(後日出頭の)日程のほうを調整させていただいて。

原田 先方の方も被害届を出すってことですか?

刑事 まあ、そうです。そうですね。

原田 じゃあ、私も出して。わかりました。

刑事 そのときには、扱った者、担当の者に聞いていただければと思います。

原田 そうですね。なにか新宿駅構内の写真とかないんですか?

刑事 それはいま、分析している最中です。

原田 分析ですか。わかりました。ほかには目撃者とかは?

刑事 そうですね。当然そうなりますね。

原田 私の周りにいた人とか?

刑事 出てくればいいんですけどねー。新宿駅、一日何十万人も来るわけですからねぇ。

原田 ビデオカメラは?

刑事 一番いいのは、やはりビデオカメラがそうですよ。そういう意味では駅員さんにも話を伺うべきですよ。
原田 現場にはいなかったのに?

刑事 フフッ(笑)、当然駅員さんにも話を伺います。

(目撃者とビデオカメラ。信助さんは身の潔白を証明するために、最後まで正常な捜査を要求している。)

原田 あの、本当に私だけでなくて、生活安全課にその3人が呼ばれたんですか?

刑事 ええ、まだいますよ。手続き中ですよ。

原田 こっちに来て、ずっと私に対した質問のような形をとっていた?

刑事 ええ、そのとおりです。

原田 間違いなく?

刑事 間違いなく。アルコール検知もしておりますし。

原田 私は本当、駅員の方に、本当に一方的に……。

刑事 それはやっぱりね、駅員さん呼び出して捜査しないといけないですね。

原田 傷を負いました。恐怖をおぼえました。本当に。

その後、再出頭の段取りの話になる。信助さんは〈弁護士の方に依頼する場合には、そのタイミングに合わせるって可能ですか?〉とたずねている。

刑事 現時点の段階では、まだ刑事事件になってないわけですから。これからですから。

原田 同時出願という形になるんですか? 被害届は?

刑事 時間は違ってもお互いに、ということです。

原田 お互いに? それだと先ほどの話だと、私があって、みたいな、原因とそのあとみたいな感じになる?
刑事 そうでしょうねぇ。

原田 そうでしょうね!?

刑事 それは、双方の話がどういうふうになるか。

原田 それは……そうでしょうね。

Y刑事はふたたび〈目が覚めたら、帰っていただいて結構ですから〉と言い残し、エレベーターに乗って去る。(「上へ参ります」というエレベーターの音声案内が響く。)