事件の推移

目撃者を探しています! 9/16 追記より一部転載&加筆 【2010.11.20 更新】


■2009年12月10日~11日
午後11時頃、歓迎会から帰宅するために新宿駅構内を通行中だった息子は、女子大学生の(お腹を触った)痴漢犯人とされ、
女子大学生の友人の男子大学生に階段から引き落とされ、一方的な暴行を受けた。
息子は110番通報をしたが、駆けつけた駅員・警察官より、痴漢犯人として扱われ、新宿西口交番から、新宿警察署に任意同行された。
そして、新宿警察署では痴漢の被疑者として、明け方4時頃まで取り調べを受け、その後、息子は、新宿署内で休息を取り、5時45分頃警察署を出ると、
電車に乗り早稲田駅に行き、午前6時40分、電車に轢かれ重態となり、東京女子医大に搬送された。
午後7時15分に私(原田尚美)の携帯電話に牛込警察署より電話があり息子の事故を知る。

■2009年12月12日
牛込警察署から、息子の持ち物らしきボイスレコーダーが落し物として届けられているとの連絡を受け、息子の声を確認して受け取る。
新宿警察署に電話をして、息子が何故、新宿署にいたのか、何時までお世話になっていたのか
教えていただきたいと訊ねるも、「わからない」という答えしか返ってこないため、110番に通報して、きちんとした説明を求める。

■2009年12月13日
新宿警察副署長黄海氏より、私に電話があり、
「息子さんと大学生3人との間でトラブルがあり、駅員に取り囲まれ、お腹を触られたんではないかとする痴漢容疑で
新宿警察署(生活安全課)で事情聴取を受けるが、
大勢の人間が行き交う新宿駅で、息子さんを痴漢と認定するのは無理という判断の元、痴漢容疑は晴れたが、
その後、お互いの暴行容疑で事情聴取が続き、3時から4時ころ、『学校もあるだろうし、会社もあるだろうから、帰宅するように』と言われ、
大学生は帰ったが、息子さんは休ませてくれ、と言って2階のソファーで休んだ。
息子さんが署を出たのは5時15分・・・5時から6時半くらいの間かな。誰かが付きっきりでいた訳ではないので、正確な時間は分からない」と説明があった。
私が「息子はケガをしておりませんでしたか?」と訊ねたところ、「外傷はありませんでした」と答えた。(※この電話の内容は、翌2010年1月11日の新宿警察署での会見の際、
黄海氏本人に確認しています)

■2010年1月9日
新宿警察署副署長より電話。1月11日に会うこととなる。

■1月11日
新宿警察署にて、黄海氏と生活安全課課長菅原氏と会見。
「息子さんは(痴漢容疑の)犯人ではない」と言われ、ボイスレコーダーの提出を求められる。
黄海氏の説明では、「息子と、息子と組み合った男子大学生一名のみが事情聴取を受け、女子大学生ともう一人の男子大学生は参考人、
誰からも被害届は出ていない」と言われる。
事件当夜、息子が暴行を受けた現場からかけた110番通報の内容と、受けた暴行の内容については、後日確認後に連絡をいただいて、
息子の代わりに私が暴行の被害届を出すことになった。

■1月28日
新宿警察署の生活安全課課長から電話があり、息子を東京都の迷惑防止条例(痴漢)の被疑者と認定し、書類送致するとのこと。
女子大学生の被害届が出されているのか訊ねたが、有無について明言を避けられ、
また「新宿署として認定した」と言われた。

■2月1日
同じく新宿警察署の生活安全課課長から電話。1月29日に息子を東京都の迷惑防止条例の被疑者として、東京地検に書類送致したとのことであった。
暴行容疑の事情聴取での調書は存在するのかと訊ねたところ、調書は存在しないと説明したはずであると返答。

■2月25日 
JR東日本、機器管理室のお●●い氏から、東京都個人情報開示課のK氏に連絡があり、
「平成21年12月10日の新宿駅の防犯カメラの映像は、警察のほうから証拠保全の指示がなかったので、消してしまってありません。」(※1)

■2月25日
新宿警察署に、息子に代わって被害届を提出しようとしたが、拒否された。

JR新宿駅駅長室で助役さんに、12月10日の日誌を見せていただく。
[12月10日・8号ホーム23:05迷惑行為で110番]との記載を確認。
暴行現場である階段の上に設置された防犯カメラは「階段の下まで写すカメラ」であることを教えていただく。
新宿駅でのチラシ配りの許可はいただけなかった。

■3月1日
警視庁情報公開センターに息子の「110番通報」の開示を請求。

■3月11日
新宿駅でチラシを配り始める。

■3月16日
東京都庁個人情報開示課へ、「110番通報」の開示請求について相談に伺う。

■3月18日
弁護士に「110番通報」の開示請求のため「23条照会」をかけていただく。(3月24日付照会)

■3月23日
新宿警察署に男子大学生を住所氏名不詳のまま暴行容疑で告訴しようとしたが拒否される。
暴行現場である階段の手前に、新しい階段が完成。

■4月6日
東京地方検察庁に弁護士と告訴状を持参。

■4月8日
新宿警察署から「郵送した告訴状を返送する」と2度めの告訴拒否の連絡を受ける。

■4月12日
目撃者探しのためのブログを開設。

■4月20日
検察庁から電話。検察庁は告訴を受理する方向で動く旨および証拠としてボイスレコーダーを提出してもらいたいという要請を受けた。

■4月23日
息子が11時27分にかけた「110番通報の記録」が一部開示された。(4月19日付回答)

■4月27日
検察庁から電話。都の迷惑防止条例の不起訴記録は非開示と連絡を受ける。

■5月25日
検察庁から「男子大学生に対する告訴状は受理されている」旨の連絡を受ける。
【メディアの報道と警察署・JRのコメントの変遷】

■5月7日
夕刊フジに記事掲載。

■5月17日
週刊ポストに記事掲載。

■5月20日
産経新聞に記事掲載。

同署(新宿署)によると女性は触ったという人物の顔を見ていない。
唯一の物証は防犯カメラの映像だという。
「女性の『(誰かに)触られた』という証言は信用できる。すれ違った瞬間はカメラの死角だが、証言と同じタイミングで触れる人は原田さんしか写っていない。
証言と映像で複合的に判断した」と説明する。
「本来は立件するような事案ではなかった。母親の『暴行』との訴えや、相手の女性の気持ちも考慮した結果白黒つけるべき話になった」
「(大学生の行動は)痴漢の行為を引き留める行為の一環」

■5月25日
週刊女性に記事掲載。

【新宿署のコメント】
「痴漢と暴行をセットで捜査して終了した」
「原田さんが亡くなったことは、大変お気の毒ですが、本件については必要な捜査を適正に行ったあとに送致しております」

【JR東日本のコメント】
「社員が現場に駆けつけたときは、1人の男性が馬乗りになって押さえつけていた、とのことです。痴漢ではなく、トラブルとして対処した、と聞いています」

■6月14日
フジテレビ:スーパーニュースで放送。

■6月15日
司法記者クラブで記者会見。
ニコニコ動画で生放送。
TBSニュース23で放送。

■6月16日
産経新聞に記事掲載。
毎日新聞に記事掲載。
共同通信社にて記事配信。


■6月21日
【JR新宿駅駅長室】

『駅助役の話』
[12月10日・8号ホーム23:05迷惑行為で110番]について
「迷惑行為といっても喧嘩、痴漢など色々ある」(A助役)
「社員が現場に行って確認してから110番通報をしている」(A助役)

■6月28日
【JR新宿駅駅長室】

『駅助役の話』
「JRの社員が現場に行き、女性から『痴漢』と言われたので、8号ホームから別の社員が警察に通報した。」(A助役)
「『迷惑行為』とは『痴漢行為』を指していう」(他の職員)
「警察官に引き渡した時間は、通常だと110番通報をしてから10分か15分後になる」(A助役)

「(テレビの警察のコメントのあった)息子が駅員の方の名札を奪ったというのは本当ですか」  という質問に
「警察に聞いてもらいたい」(A助役)
「事実です」(他の職員)

■7月7日
目撃者の証言等から、「息子のかけた110番通報」は11時過ぎ頃と判明し、二度目の「23条照会」をかけていただく。

■8月11日
警視庁・新宿警察署及びJR東日本への【質問状】を送付する。

■8月13日
息 子が11時20分にかけた「110番通報の記録」が開示された。「応答した直後に無言のまま切断されています」という内容だった為、通信指令センターの山 岸氏と会話をした最初の「110番通報の記録」を開示請求のため、三度めの「23条照会」をかけていただくことになる。

■8月24日
JR東日本からの【回答】が届く。
公開質問状の回答から(一部抜粋)
「現在は警察当局に提出しました防犯カメラの映像は返却され、
当社で所持しております」とのこと 
※1 2月25日の回答では警察から証拠保全の指示がなかった為、消去して無いとの回答

ニコニコ動画で二度目の生放送。

■9月11日
警視庁新宿警察署からの【回答について】が届く。
警視庁新宿警察署からの【回答について】は、【回答について】は回答できないという内容。

■9月29日
故黒木昭雄氏と初めて面会。

■10月18日
新たな目撃者の目撃証言を代理人の弁護士が検察庁特捜部佐藤検事に提出。

■10月19日
新宿駅の事件現場で何時もの様にポスターを掲げて立っていたところ駅員が現れ
「こんなところに立っていないで、改札の外へ行ってください」と言われる。

■10月20日
事件現場で一人で立っていたところ、突然駅員が現れ至近距離より写真を撮られる。
「私には肖像権がありますので、その写真はお返しください」と言ったところ
駅員は
「私はあなたを撮ったのではない。工事中の現場の写真を撮っただけです」と言い残し、逃げるように駅長室に入る。

■10月26日
再度、JR新宿駅のU助役に写真を撮られる。
一緒にいた人も2回フラッシュを浴び、20日と同様に、写真を返却するよう言ったが、
「あなた達を撮ったのではない。構内の写真を撮っただけです」との返答。

■11月1日
午後4時に故黒木昭雄氏と最後の会話。
原田:「明日メールをお送りいたします」
黒木:「わかりました」

■11月6日 
夕刊フジ 「目撃者現れ新展開」

■12月2日
午後1時:東京地方裁判所の決定の元、証拠保全の検証を行うため、裁判官・書記官・弁護士の先生・カメラマンの方が東京都警視庁通信指令本部に出向く。
しかし、警視庁は、「人手が足りない」「業務に支障をきたす」等の理由で、証拠保全の検証手続きを12月27日に先送りにする。

■12月6日~9日
「日刊サイゾー」にて
「短期集中連載」発生から1年「新宿駅痴漢冤罪暴行事件」の闇 ①~④が掲載される。

■12月7日
警察が信助さんを痴漢の犯人と断定した根拠とされる「新宿駅の監視カメラの映像」を、JR東日本に証拠保全に出向くも、提出された証拠はデータをVHSのテープにコピーした不鮮明な映像であり、
しかも、事件が発生したと言われている時間とは違うものであった


■12月10日
ニコニコ生放送にて一周忌企画として三度目の生放送
「痴漢と呼ばれ自殺~1年前の夜、新宿駅で何が起きたのか?」

出演者)
津田大介(メディアジャーナリスト)(@tsuda)
原田尚美(信助さんの母親)
江川紹子(ジャーナリスト)(@amneris84)
小川健(夕刊フジ記者)(夕刊フジ公式サイト:ZAKZAK)

■12月11日
信助さんの一周忌法要が行われる。

■12月14日
夕刊フジ 及び ZAKZAKにて記事掲載
【夕刊フジ編集局から】ジャーナリスト江川紹子も追い続けるJR新宿駅・突然痴漢容疑で自殺

■12月15日
東京地検は、信助さんを暴行の被害者とする、母、尚美さんの告発を証拠不十分で不受理とし立件しないと決める。

■12月17日
夕刊フジ 及び ZAKZAKにて記事掲載
【夕刊フジ編集局から】亡き息子の痴漢えん罪を訴えた母の願い



■1227
午後1時:東京地方裁判所の決定の元、証拠保全の検証を行うため、裁判官・書記官・弁護士の先生・カメラマンの方が再度、東京都警視庁通信指令本部に出向く。
警視庁は、音声の記録は提出せず、文書の記録をコピーした紙を提出する。

警視庁の提出した記録により、事件の翌朝430分には、被害女性が「(息子は)人違いだった」と証言していたことが判明する。

2011年 
 
■ 34

真実を明らかにするために、この度、東京地方検察庁に対し、要望書を提出


■ 310

警視庁情報公開センターに息子の写っている「牛込署の保有する防犯カメラの映像」の開示を請求。



■ 331

犯罪被害者家族の会Poena 代表の小林邦三郎氏にご同行頂いて、

検察庁にて「新宿駅の防犯カメラの画像」の開示請求書を提出する。

刑事部高橋検事より、【要望書】の質問に対して「検察庁の捜査に違法性はない」という回答がある。

警視庁に「牛込署の保有する東京駅から大手町駅間の息子が写っている防犯カメラの映像」の開示を再度請求。

中野寛成国家公安委員長宛に【要望書】を提出する。



■ 44

警視庁情報公開センターより、息子の写っている「牛込署の保有する防犯カメラの映像」の開示は

刑事訴訟法第53条により開示できないと回答が届く。

■4月26日
 警視庁を提訴  東京・霞ヶ関の弁護士会館にて記者会見



痴漢容疑の取調べ後に転落死~男性の母親による警視庁提訴の記者会見 from .
ニコニコ動画の会見映像より
2011年4月26日 痴漢容疑の取調べ後に転落死~男性の母親による警視庁提訴の記者会見 @弁護士会館

(日刊サイゾーより転載)

新宿駅痴漢冤罪暴行事件 原田信助さんの母親が警視庁を相手取り提訴へ
大学職員の原田信助さんが2009年12月、JR新宿駅にて、通りすがりの大学生グループに痴漢の容疑をかけられて激しい暴行を受けたり、警察による冷徹な取調べが理由で自らの命を絶った、いわゆる「新宿駅痴漢冤罪暴行事件」。10年12月に当サイトで報じたところ(記事参照【1】【2】【3】【4】)、4回の連載を通して5,000件を超えるリツイートがつくなど多くの反響があった。事件の背景に新宿警察署のきわめて強引な捜査や、現場となったJR東日本の不適切な対応があったことは既報の通りである。
警 察の取調べに強い疑問を持った遺族の母・尚美さんは、裁判所を通して当時の警察の取調べ調書の開示請求を行い、その調書が昨年12月に開示され た。この結果、痴漢の「被害者」を名乗っていた女子大生が、信助さんを犯人と「見間違えた」と証言していることが判明している。新宿警察は被害者の証言も ないままに信助さんを痴漢犯として書類送検したことになり、組織的な犯人でっちあげの可能性が極めて高くなった。
そんな中、母・尚美さんは警察庁を相手取り、国家賠償請求の提訴をこのほど決断。その記者会見が4月26日15時より、弁護士会館(東京都霞ヶ関)5階で行われるという。

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提訴記者会見のプレスリリース
(クリックすると拡大表示します)
「明るい警察を実現する全国ネットワーク」(以下、警察ネット)代表で、今回の弁護団の主任弁護士を務める清水勉弁護士は、信助さんのような冤罪事件は「決して例外的なものではない」とした上で、警察の日常業務のやり方に構造的な原因があると指摘する。
「信 助さんを取り調べた警官が特別にひどいという話ではなく、普段から警察の取調べというのは人権に配慮がなされているとは言えない状況です。仮に 内部で誰かがそれを問題提起しても、『人権配慮なんて必要ない』『ミスをしたらもみ消してやる』というのが今の警察組織のスタンスです。警察の側にもひど いことをしているという自覚はあるのですが、『とにかく検挙率を上げろ』という空気の中で、警官たちは仕事をしている。その延長上にあるのが、足利事件で あり、原田信助さんのような冤罪事件なんです」
日常的な職質や任意の取調べで酷い目に遭わされ、しかも不起訴になるようなケースは法廷で すら争われることもなく、ほとんどすべての人が泣き寝入 りしているのが現状だというのだ。警察白書の数字に出てくる検挙数の中には、かなりの部分でこうしたケースが含まれていると清水弁護士は言う。
「今 回は信助さんが、ICレコーダーで警察とのやりとりなど、かなりの部分を録音していてくれたわけですが、死ぬ間際のギリギリまで録音していたと いうのは、彼が『なんとかしてくれ』と我々に問題提起をしたのだと受けとめています。『警察ネット』では警察のあり方について、警察の側からも相談を受け ているわけですが、その立場から考えても、今の警察の仕事の仕方には大きな問題があると言わざるを得ない。そのことを今回の裁判を通してしっかりと提起し なければならないと考えています」
不適切な警察の取調べが日常的に行われ、これにより冤罪が構造的に生み出され続けているとすれば、信助さんの事件はすべての日本人にとって他人事ではない。今後の裁判の行方が注目される。
(文=浮島さとし)